政策調査情報
内 容 @2005年度(平成17年度)政府予算の「三位一体改革」における地方財政確立を求める要請書 A総務省交渉の概要
05年度政府予算で地方財政確立を求め総務省要請を実施!
〜150,923筆の署名簿提出〜
11月2日、峯後樹雄事務局長をトップに総務省に対し「地方切り捨てを許すな!地方財源確立を求める要請署名」を提出した。署名簿は全道から合計150、923万筆(第1次65,275筆、第2次85,648筆)。また、「2005年度政府予算の『三位一体改革』における地方財政確立を求める要請書」(民主党北海道・連合北海道)を提出した。総務省は、香山充弘事務次官が対応し、要請に対し、「義務教育費国庫負担金の扱いは、全国知事会など地方六団体の意向を尊重する」と回答したが、その他の要請事項については「異論はない」と答えた。
■「地方切り捨てを許すな!」地方財政確立を求める道民会議要請団
○連合北海道;峯後樹雄(事務局長)、佐藤富夫(副事務局長)、
小檜山秀昭(政策調査部長)、上野由照(同副部長)
○自治労道本部;友利一男(副委員長)、杉谷光一(政策部長)
○民主党国会議員団
荒井さとし、金田誠一、松木けんこう、小平忠正、峰崎直樹、小林千代美(秘書)、
三井わきお(秘書)
(要請書)
2004年11月2日
総務大臣
麻生 太郎 様
2005年度(平成17年度)政府予算の「三位一体改革」
における地方財政確立を求める要請書
要請の主旨
政府は、国と地方の財政再建と地方分権の推進のための「三位一体改革」を2004年度から2006年度までの3カ年計画で進めています。国庫補助負担金の削減(3カ年で国庫補助負担金を4兆円削減する)、地方への税源移譲(地方への基幹税を移譲する。国庫補助負担金削減の義務的経費は全額、その他は8割程度を目安に移譲する)、地方交付税の削減(地方交付税の総額を抑制)、この三つの改革を同時に一体で改革しょうとしています。
しかし、改革の初年度であった国の2004年度予算では、国庫補助負担金は1兆300億円削減される一方、地方への税源移譲は6,558億円しか移譲されませんでした。しかも、地方交付税と交付税の不足を補う臨時財政対策債は、2兆8,623億円(前年度比マイナス12.0%)もの削減となりました。この影響で北海道や各市町村では、財政が破綻しかねない危機的な状況となっています。
このように改革の1年目は、単に国の財政赤字の地方への負担転嫁、そして恣意的な、バランスを欠いた地方交付税の削減に終始し、弱い地方を切り捨てる改革でしかありませんでした。
2005年度政府予算においては改革2年目であり、三位一体改革関係閣僚会議において国庫負担補助金の廃止・縮減、国から地方への財源移譲、地方交付税について議論していますが、全国知事会との協議は決裂状態となっており、先行きは不透明の状況となっています。
私たちは、地方分権推進、国の権限・財源が公平に地方に移譲されるように、また、財源移譲規模に見合う国庫補助負担金の廃止・縮減にあたっては、国民生活に直接影響のある教育分野においては、義務教育費国庫負担制度を堅持するなど、本来的な「三位一体改革」として実行されるように強く求めるものです。
「地方切り捨てを許すな!」地方財政確立を求める道民会議
代表委員 民主党北海道代表 鉢呂 吉雄
代表委員 連合北海道 会長 渡部 俊弘
要請事項
1.「政府の三位一体改革」における地方財政確立の実現
(1)国の関与を廃止・縮小し、地方の裁量や自由度の拡大を確保するため、税源移譲規模に見合う国庫補助負担金の廃止・縮減を行うこと。また、一般財源化する補助金の選択にあたり、保健・医療・福祉・環境・教育などの市民生活に直接影響のある分野は公共サービスの質・水準の低下を招かないよう、十分な検討に基づき、国民合意なしには行わないこと。
(2)地方交付税について、国が法令に基づく事業実施を自治体に義務づけ、自治体間の財政力格差が大きい現状においては、財源保障機能、財政調整機能を維持すること。また、地方交付税の決定過程においては、当事者である地方も参画させること。
(3)義務教育費国庫負担制度を堅持し、必要な教育予算を確保すること。
(4)地方6団体が求めた政府との協議機関において十分な協議を行い、地方の意向を的確に反映させること。
以上 |
総務省交渉の概要 ※文責連合北海道
<峰崎直樹議員>
●交付税削減は、骨太方針からの逸脱
三位一体改革は分権の時代に向けて、地方自治体が財政の自由度を増していく改革でなければならない。ところが去年の税源移譲は所得譲与税を中心にしたため、人口が多いところに多く配分された。地方からすればとんでもない改革。交付税、臨時財政対策債削減も含めて財務省は、05年度、06年度の2年間で7兆8千億円の地方交付税を削減するといっている。三位一体改革では補助金を削減し、税源移譲する。しかし、これでは有利になる地域と不利になる地域がでてくる。北海道は配分で不利になる地域。昨年の骨太方針には明確に、地方税、交付税、その他一般財源でこれを維持すると書いてある。わざわざ交付税を含むと書いている。その減った分は交付税で保障されるという前提だった。交付税を減らすのでは、全然話が違う。交付税等の削減は、骨太方針の原点として間違っている。
●社会保障など所得再配分機能は国の責任
民主党の考え方は18兆円の補助金を地方にということだが、その中でも社会保障的な補助金は所得再配分機能であり、これは国の責任で当然やるべきだとしている。地方が所得再配分をやれるという権限はない。保健、医療、福祉、環境、教育などは慎重でなければいけない。
<友利自治労北海道本部副委員長>
●地方交付税は地域の財政力格差是正機能として必要
北海道は212市町村のうち178が町村、その財政構造をみると、実財源である地方税の構成比が全国平均の21%以上を上回っているところが、11町村しかない。残りの170近いところがそれ以下で、10%に満たないところが110町村にものぼる。最低では2.7%という実態である。こうしたことから、財源においては交付税、あるいは特別交付税に頼るというのが北海道の町村の現状である。各自治体は、独自の賃金カットや昇級延伸などに追い込まれているのが実態。
交付税は、市町村の全国の格差是正措置として有効な機能を発揮してきた。今後とも必要な機能だ。
<香山充弘事務次官>
@ 率直に言って義務教育費国庫負担の扱いの1点を除けば全く異論はない。要するに財務省が地方交付税を7兆8千億円カットするというのは許し難い主張。暴挙だ。麻生総務大臣は、税と交付税を合わせて、一般財源も去年の数字を維持するとはっきり言い切っている。断固それを貫く。応援いただきたい。
補助金削減の私どもの基本的考えは地方公共6団体の意見を尊重すること。その中に義務教育費国庫負担金も入っている。6団体は要するに(義務教育)は地方に定着しているから、国が補助金で締め付けをしなくても行政水準は維持できるという考えだ。そこは交付税でカバーするということが大前提。義務教育はどんな知事が出たって県議会もあるし無茶苦茶減らすようなことは起こり得ない。一般財源化してもいいというのが6団体の意見。
A 財務省と厚生労働省が結託し、生活保護と国民健康保険の補助率カットは、けしからん。というのは、結局、地方が歳出水準を決める自由度を拡大して、それによって、生活保護水準を切り下げることができるというねらいだ。そうすると地域によって生活保護基準までも格差が生じる。生活保護というのは、国全体で安心の社会を防衛をするという制度で所得再分配の最たるものだ。全国一律の基準でなければならない。厚生労働省や財務省は、地方負担を多くすればその基準認定が、今よりきちんとするという主張だが、無礼千万な話だ。
B それから、国民健康保険はいま市町村が事業主体になっているが、これを県に国の負担を肩代わりさせようということ。とても6団体が受けられるような話ではない。
政府は、六団体の意見を尊重すると言ったのに、各省はそれぞれの思惑で都合のいい補助金カットの対案を検討している。省庁のいまの代替案では及びもつかない案になっている。3兆円のノルマに対して出てきたのが700億ぐらい。総理は3兆円の税源移譲を断固やる、地方公共団体の意見を尊重するとはっきり言っている。皆さん方も、地方六団体の意見を尊重してほしい。
C 義務教育は憲法で国民に教育の機会均等の権利を保障しているが、現行憲法の下で昭和25年〜27年までに一回国庫負担から除外したことがある。そのときには地方財政が窮乏していたこともあって、国庫負担金は復元してしまった。
いま時代が変わった。高等学校は国庫負担金が全くないが、県立高校を比較してみて、大きな差はない。従って国庫負担がないと義務教育が支えられないというのは、やや幻想に近いと思う。
<金田誠一議員>
義務教育費を削減して、地方の自由度は増すか。
<香山充弘事務次官>
総務省としては義務教育は地方に定着している、従って補助金で支えなくてもう大丈夫だと思っている。自由度というのは理論的に自由度であって、現実に勝手気ままにするという恐れがない事業を言っている。それはどこの県でも補助金があろうがなかろうが義務教育をペケにするような県はない。ここは、地方団体の立場に立って信用して頂かなければならない。
<小平忠正議員> 補助金カットに見合う財源が移譲されるかどうかが問題。それは半分にもならない感じだ。
<香山充弘事務次官>
要するにマクロの話として、税源移譲は補助金の削減額に一致させる。一昔前の一般財源化は、財政計画の中でこなすという形で、強いて言えば補助金のカットは、例えばたばこ消費税の値上げをするとか、交付税なり全体収支の中でこなしてきた。
今回は税で移譲することをはっきりさせましょう。しかし、税自体は偏在しますから、できるだけ偏在をしないようにするため、住民税については10%、ちょうど3兆円になる。そういう一定税率にして、相当程度偏在は是正される。それでも足りない部分は交付税で補填することにしている。地方交付税の計算をするときにも、今までは原則としては基準財政需要額、基準財政収入額を差し引きするときに、基準財政収入額は県の場合8掛けしていたが、今回の場合100%で計算する。ほとんど偏在は是正されるのではないか。そのときに問題になってくるのが交付税が確保できるかどうか。そこへ向けて財務省は相当危機感を持って交付税削減をいっている。これは全面戦争。
要するに、交付税をもらっていないのは東京都だけになっている。だから問題は東京都に行き過ぎる税金をいかに剥がすかだと思っている。
<荒井聡議員>
この間、小泉さんが進めてきた地方分権は、財務省主導型で、国の財政再建のためにやっているというものがチラチラ見え隠れしている。それに、地方が付き合わされられるのかという、不安がいちばん大きい。地方がうまく活用させられているという不安だ。昨年の交付税削減でものの見事に不安があたった。
<香山充弘事務次官>
去年の三位一体で地方に大不満があるということは、われわれは承知している。総務省が力不足だったといわれれば、それはしょうがないが、あえて弁解がましく言うと、大きな誤解がある。一つは1兆円補助金をカットしたけれども税源移譲は6558億円しかなかったが、これは全然間違い。この隙間の3500億円は、「まちづくり交付金」をつくった。補助金としては減っていない。
<峰崎直樹議員>
所得譲与税という形で人口割りで配分している。人口割りで配分していたら東京や人口の多いところは有利。今までの補助金の削減に対応して。人口でなくて65以上の人口にするとか、要するに地方自治体からすると今まで補助金でもらっていたものが一般財源化しても確保できなければ、将来どうなっていくかという不安が生れている。
過疎地からすれば今までの保育所運営費は補助金できていた。それが人口割りで配分され極端に減ってしまった。交付税で交付しているというが、その交付税がトータルで減っているのだから、地方にしてみればきたことにならない。
<香山充弘事務次官>
昨年は、いささかきつすぎたか。来年はそんな乱暴なことはしない。所得税を移譲することによる交付税総額の目減り分は、補填する。これは当然補填したい。率の問題にするのか、特例にするのか、何れにせよそれは当然のことだ。
<峰崎直樹>
本当は交渉の相手は財務省、敵は財務省にありだ。
<峯後樹雄事務局長>
次官の方から概ね私どもの要請に対する所見をいただいた。義務教育費国庫負担金については、われわれとしては意見はある。今日は、時間が押してしまったので、それはまた別な角度から私どもとしては対応したい。それ以外は同一ベクトルだ。総務省としても全力上げて頂きたい。
以上